ナインボールクラシック・オープン・照屋杯
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もう大穴とは言わせない 白岩篤、オープン初制覇! |
■若くしてこの世を去った、かつて関東期待のプロだった照屋寛紀氏。彼を偲んでの記念大会が、9ポールクランックオープンとして行われた。地区オープンに近いものだが、優勝賞金50万円は、全国区に匹敵するもの。しかしハンデ戦ゆえか、意外にプロの参加が少ない。東の2トップがいない時だけに、若手には絶好のチャンスだと思えたのだが、どうしたことか。そんな中でこの大会を制したのは、今年こそひと皮剥けたと思える自岩篤だった。
今年に入ってここまで、関東地区ではジャパン・オープンの廷期もあって、大会らしい大会はまだ開かれていなかった。その意味では5月15、16日に開かれたこの「9ボールクラシックオープン照屋杯」こそが、ハンデ戦とはいうものの関東でのオープン緒戦といっていいだろう。 高橋邦彦、奥村健、利川章雲というビツグスリーは、アメリカでのBCAオープン出場のため不参加であったが、東のプロ(男子21名、女子4名)25名が参戦。そして台湾から5名、フィリピンからはロサリオも参戦。これにアマ72名(女子5名)が加わって総勢103名。予選ダブルは6、5、4(プロ、女子P/アマA、L)ゲーム先取、32名の決勝シングルからは1アツプというフオーマット。 予選で日立ったのは、北山亜紀子プロ。逸崎康成プロ、アマ強豪の寄井田幸美などを運破して3運勝で決勝に乗った。またアマでは内藤栄二が、原ロプロに破れ敗者に回わるも、敗者最終で元プロの梶川をフルゲームで下す活躍。 ベスト8に残ったのは、プロは原口哲、横田英樹、白岩篤、菅原利幸の4名。そして組み合わせはこの4人に銘苅朝樹、木菱健二、山下和良、そしてフィリピンのジェシーという4人のアマが対決するという展開。この戦いはほとんどプロとの実力差を感じさせないアマ勢が銘苅、木菱、ジエシーと勝ち上がって、残ったのは白岩ただ一人。だが、これが逆に熱い白岩を燃えさせた。白岩は苦戦しながらもジエシーを押さえ込む。 一方、銘苅がアマ界から足を洗ったと前後するように関東のトツプに顔を出した木菱。新旧とも言えるようなこのアマ対決も注目を集めたが、プロ入りを決めてビリヤード界に戻ってきた銘苅の気迫が、木菱を上回わった。 CUEの僚友対決が実現決勝はWOエンタープライズ所属の銘苅朝樹(6セット)とツアー1勝を上げたばかりの自岩篤プロ(7セット)。ともに渋谷CUEがホームグラウンドの2人の対戦に、ギャラリーも大喜びだ。バンキングを取った銘対のブレイクは1、4番を落とし、2番とのコンビで8番を入れるが残りが辛く2番ミス。白岩は2、3番を落とすのだがポジションミスから5番をミス、しかし5番の残りはかなりシブい。銘苅はこの5番をスーパーカットで入れるが今度は6番が見死ない。見えない6番をジャンプショツトでねじ込むが今度は手球が8番の裏へ。空クッションから7番を狙うがイージーな配置が残り、白岩は難無く7・9イン。銘苅のスーパーショット3連発が報われない。これがすべての流れだつた。 続く2セット目、白岩のブレイクは1・2・3番のトリプルイン。難しい4番だったがバンクー発で切り抜けた白岩はそのままマスワリで2-0とする。 第3セット、自岩のブレイクは4番を落とすが1番が極端に薄い。 一瞬迷った後に攻めた1番は穴前に残り、銘苅が残りを取り切って1-2。 流れを変えたい銘苅だがブレイクはノ―イン。1番をポケットした白岩だが2番ヘポジションミス。厚みはあるのだが穴が遠い。長考の後、白岩はこの2番を遠いコーナーヘカット。残りもテンポ良く取りきり3-1と突き放す。 続く5セット目、白岩のブレイクは1・2・4・9インと大追力のエースで4-1。これには銘対も苦笑いだ。 6セット目、白岩のブレイクはな番を落とすが1番でミス。銘苅が残りを取りきって2-4。ハイレベルな試合にギャラリーが湧く。 7セット目、銘苅のブレイクは3番を落とし残り球も一見して問題無し。テンポ良くポケットを続けマスワリかに見ええたがイージーな8番を穴に引っ掛けてしまう。銘苅は自分のミスが信じられないといった様子でしばらく動けない。白岩は残りを取り切って5-2。これで、リ―ドされながらも余裕を保っていた銘苅の表情が次第に厳しくなっていく。 ラッキーなセツトをもらつた白岩の勢いは止まらない。強烈なブレイクで1、2、7番を落としそのまま2つ目のマスワリで6-2とリーチをかける。 9セット目、白岩のブレイクは初のノ―インだが手球はがっちり囲まれ1番が見えない。長考の末2クッションからセ―フを取りにいく銘苅だがファール。白岩が残りを取りきり勝負を決めた。 マスワリ2、エース1、ブレイクノーイン1、シュートミス2の、ほぼ完ペキと言っていいファイナルを振り返って、「ベスト8あたりじゃ危ない場面もあったけど、尻上がりに調子が出てきた。スコアを見れば一方的だったけど、銘苅君も実力はトッププロと完全に互角。気を抜いてたらやられていたよ」と白岩。「同じCUE(がホーム)同士というのもあって、リラックスして撞けたのがよかった。今年は僕の年にしたいね」と力強いコメントを残した。 白岩対銘苅という対戦カード、ガリオンならではの豪快なイレ合い、そして本部席に張られた故照屋氏の写真…。『ハスラー2』に心踊らせたあの頃にタイムスリップしたような、不思議な感覚の残る名勝負だった。 <Cap1> <Cap2> <Cap3> <Cap4>
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